浸漬法の代表「フレンチプレス」

フレンチプレス(コーヒープレス)をご存じでしょうか。「当然知っている」という方も多いと思いますが、ここでは「あまりよく知らない」という方に向けて、フレンチプレスの魅力をお伝えできればと思います。フレンチプレスはとても始めやすい抽出方法ですので、知らないのはもったいないです。ぜひこれを機に新たなコーヒー領域に入るのはいかがでしょうか。
もちろん、すでに楽しまれている方にとってこの記事が少しでも参考になるものであればうれしいです。ぜひのぞいてみてください。

目次で興味があるところをご覧いただければと思います。

目次

フレンチプレス、名前の由来と歴史

フレンチプレスで最も有名なメーカーの「ボダム(Bodum)」。ボダムはデンマークの食器、台所用品のメーカーなのに「フレンチ」プレス??ということで、簡単ですが世界的な普及に至る経緯を簡単にご紹介します。

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1928年 アッティリオ・カリマーニがイタリアで特許を取得
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デザイン的改良が加えられ、1958ボンダニーニが特許を取得

ここまではイタリア中心の流れです。

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フランスで量産

フランスのマーティンSAというクラリネット工場で生産を始める。これを機にフランスで流行。「フレンチプレス」の名称はここから広がってきたのではないかといわれています。

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ヨーロッパの各社で生産が始まる

このタイミングで「ボダム」が生産を始めます。ボダム社のこの抽出器具の名称が「フレンチプレス」なので、この商品名が一般化したという説もあります。

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ヨーロッパ各国に普及

イタリアで特許がとられた時は、あまり普及していなかったということでしょうか。量産が始まり一気に普及したのがフランスで、そこからフレンチプレスという名称につながったということでしょう。

最初から現在のような器具があったわけではなく、布に包んだコーヒーを棒で押し込むような形だったのではないかといわれています。「それ、今でもやったらいいのでは?」と思ってしまうのですが、ともあれ、現在の形になって100年近く世界的に愛されているコーヒー器具ということになりますね。

ちなみに、
フレンチプレス(アメリカ、日本)
カフェッティエラ ア スタントゥッフォ(イタリア)
コーヒープランジャー(ニュージーランド、オーストラリア)
カフェティエール ア ピストン(フランス)
カフェティエール (イギリス、オランダ)
コーヒープレス(アメリカ、カナダ)
など、様々な呼ばれ方をしています。不思議な感じもしますが、むしろそれが当たり前なのかもしれませんね。

フレンチプレスは「浸漬法」の代表選手

浸漬法という言葉で「わかっている」という方は飛ばしてください。
コーヒーの抽出方法として、大きく「透過法」と「浸漬法」があります。透過法の代表はハンドドリップ。そして浸漬法の代表はここで紹介します「フレンチプレス」です。

様々な抽出方法があり、それによって味わいが変わってくる。これはコーヒーの醍醐味です。
コーヒーの抽出については、透過法と浸漬法のどちらか、もしくは「合わせ技」となります。浸漬法を用いた抽出方法はフレンチプレス以外にも「サイフォン」「ターキッシュ」さらにQグレーダーによる豆の評価にも使う「カッピング」などとにかく豊富です。それぞれ特徴がありますが、最も「浸漬法らしさ」がでるのはフレンチプレスだと思います。

ハンドドリップとの比較

ここでは、ハンドドリップ(ペーパーフィルター)とフレンチプレスの2つの抽出方法を比較してみます。ここでは、「早い」とか「面倒」といった表現を使っています。例えばハンドドリップの準備は「やや面倒」となっていますが、この2つの方法以外も含めるともっと面倒な抽出方法もあります。ここでの表現は「あくまで2つを比較してどちらかというと」という意味で理解してください

比較項目ペーパーフィルターを用いた
ハンドドリップ
フレンチプレス
抽出方法透過法浸漬法
道具数数種類の道具が必要ですフレンチプレスひとつあればOK
価格揃えると高価安価
準備やや面倒簡易
抽出時間早いゆっくり
抽出技術必要ほとんど必要なし
味の特徴すっきりしっかり
コーヒーオイルなしあり
微粉の混入なしあり
片づけやや面倒
低品質の
コーヒー抽出
それなりにおいしく
「ごまかしがきく」
まずいもうまいもはっきり
「ごまかせない」

フレンチプレスは、抽出するための技術が必要ないということは、逆にどうすることもできないということになります。そのため、良くも悪くも豆の特徴がはっきり出る抽出方法といえるでしょう。
あと、フレンチプレスの大きな特徴は、コーヒーオイルがしっかり抽出される点です。コーヒーオイルには、コーヒーの香味成分が含まれているとのことで、よりふくよかなコーヒーを楽しむことができます。ただ、抽出液の中に微粉がどうしても混じりますので、気にしない、もしくは少し沈降させてからいただき、最後の一口は残すという手立てになります。

フレンチプレスの構造

基本的には本体(容器部)とプランジャー+フタ部の2つで構成されています。いたって簡単な構造です。

抽出のレシピ

ここでは、「ボダムの説明書」「スターバックス」「タリーズ」のレシピ、抽出方法を参考に、ハライチコーヒー推奨のレシピをお伝えします。

粉とお湯の量の比率

粉1gに対して湯17g(mL)を推奨します。
粉:湯=1:17 から 1:18 の間
です。例えば300mLのお湯で抽出したい場合、

 x:300=1:17
 x=300/17
 x=17.6 ⇒ 大体17g

ごちゃごちゃとしましたが、注ぎたいお湯の量÷17=粉の量(小数点以下切り捨て)となります。

ボダムの一番小さい一般的なフレンチプレス(ダイソーのフレンチプレスも同じサイズ)は、350mLのサイズです。しかし、実際の容量は最大300mLですので、これを基準に粉の量を決めてよいかと思います。

コーヒーの挽き目

すべての解説で、そしてハライチコーヒーでも「粗挽き」を推奨しています。スターバックスでは、より具体的に「ザラメ大」と表現しています。

お湯の温度

90~96℃を推奨するのはスターバックス。タリーズは「90℃前後」とのこと。お湯を沸騰させて、落ち着いたころということでしょう。温度は好みだと思いますが、ご自身で「この温度」と決め、経験を重ねていくうちに好きな温度にしていけばよいかと思います。

抽出の方法

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物品を用意します

フレンチプレス、粉、お湯、タイマー(スマホが便利)、コーヒーカップ

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器具を温めます

特に冬場はお勧めします。
フレンチプレスの温めに使った湯をカップに移すのでもよいと思います。
タリーズさんの動画では、味に影響するとのことでした。
個人的にはそれほど重要ではないと思っていますが、「やらないよりやったほうがいい」くらいだと思います。やらないと決定的にまずくなるわけではないという考えです。
気になる方はしっかりやって、そうでもない方は少し高めの温度のお湯(95℃くらい)を使えばよいかと思います。

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フレンチプレスに粉を入れます

粗く挽いた粉を使用してください。

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タイマーをスタートして、湯を半分程度注ぎます(1投目)

タイマーをスタートするタイミングがそれぞれの説明によって異なるのが不満なのですが、ハライチコーヒー的にはタイマーを押してから湯を注ぎ始めるのがよいと思います。これも、決めることが大切だと思います。タイマーのセットを忘れそうな方は、2投目を注ぎ終わってから4分スタートがよいかと思います。

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浮いた粉をやさしくまぜます。

タリーズでは混ぜないで30秒の蒸らしのみです。
ハライチコーヒーでは「優しく混ぜる」を推奨します。優しく混ぜることで粉が沈降しますので、抽出効率が上がると考えます。

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残りの湯を注ぎます(2投目)

湯を決めた湯量まで注ぎ切ります。

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フタをして、タイマーの4分を待ちます。

この間にお片付けとかほかのこととか、いろいろやってしまいましょう。

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4分経ったら、プランジャーをゆっくり押し下げます。

いーち、にーい、さーん、しーい、ごーくらいなペースでゆっくり押し下げましょう。

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完成です。完全に注ぎ切らないようにしましょう。

2杯以上移すときは、お茶を急須から注ぐようにまんべんなく注いていくようにしましょう。

まとめ

フレンチプレスは、結構なクオリティでダイソーでも売っています(550円商品)。まずは始めてみましょう。そして、おいしい豆でぜひ試してください。フルーティな浅煎りから中煎りくらいで、よりおいしさが引き立ちます。コーヒーの油分を存分に楽しめるのもフレンチプレスならではです。
決して難しい抽出方法ではないので、より深く楽しむためのステップの一つとしてぜひフレンチプレスに挑戦してみてください。

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